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9012 Live / Yes [プログレ]

目下、さよならレガシー・メディア・シリーズ「LD編」が粛々と進行中。今日はYes物のLD「9012ライヴ」をご紹介。

1984年9月28、29日、カナダ、ノースランド・コロシアムの公演を収録。1985年発売。

VAL-3013(1枚2面)
NTSC 69分。
発売:株式会社 ビデオアーツ・ジャパン
¥8,800(税込み)
9012LiveLD.jpg

Side 1
1. Introduction
2. Cinema
3. Leave It
4. Hold On
5. I've Seen All Good People
6. Changes

Side 2
7. Owner Of A Lonely Heart
8. It Can Happen
9. City Of Love
10. Starship Trooper

当時としてはかなり手がかかったライブ物で、当時の最新デジタル技術で様々なエフェクトが施されている。今となってはそのエフェクトが邪魔でライヴ物としての臨場感が削がれてしまっているが、発売当時はかなり話題になった作品である。

この時期のYesはYesの歴史上では特異な時期である。King CrimsonのディシプリンCrimsonのような扱いだ。プログレ界の大御所バンド「Yes」を名乗るものの、この時期のYesはプログレ・フレイバーのあるハードでポップなロック・バンドである。Asiaと似たような系列だな。そんなYesはある経緯で誕生した。

Yesが空中分解的活動休止状態になった1980年代初頭、クリスとアランはマネージャーのブライアン・レーンが紹介したトレヴァー・ラビンと組み、更にトニー・ケイを加えて「Cinema」というバンドを結成して曲作りとリハーサルをしていた。そこへジョン・アンダーソンが加わった。そしてバンド名称「Yes」として活動することになったのだ。謀ったな、ブライアン・レーン!なのか、ジョンが「僕が来たからもうYesだね lol 」とのたまったのか、はたまたディシプリンCrimsonやBlack Sabbath featuring Tony Iommiのように「バンド名をYesにするなら資金提供しよう」とレーベルから言われたのか。

Yesを意識して書かれたわけではないCinema用の曲をトレヴァー・ホーンがプロデュース。オーケストラ・ヒット(サンプリング技術の1つの使い方)を多用したシングル「ロンリー・ハート」が大ヒットし、YesらしくないYesは大きな商業的成功を収めた。

この時期のYes(第8期)はアルバム「ロンリー・ハート」(1983年発売)の原題「90125」(Atlantic Recordsでの型番)にちなんで「90125Yes」とも呼ばれる。Yesを名乗るものの、Yesのスピン・オフ企画バンドみたいな扱いをファンからされる。確かに音楽性は従来のYesとは似ていない。元々がCinemaなんだから当たり前だがね。ただ、バンド・メンバーの4/5が元Yesであり、バンド名がYesであり、トレヴァーは器用なギタリスト(しかもマルチ・プレイヤー)で何でも弾けるから、ライヴではオールドYesのナンバーも無理なくセットリストに加えられる。現代的でハードロック寄りのギタリストが加わったYesはアルバムこそ従来のYesらしくなかったがライヴの半分は従来のYesになるのである。

この時期のライブはアルバム「9012 Live : The Solos」(邦題:ライヴ)と映像版である本作「9012 Live」がリリースされた。アルバム「90125」のライヴなので「5 (five)」を「live」に置き換えて「9012 Live」というタイトルが与えられた。わしゃ「90125」を「きゅーまるいちにーごー」と呼んでいたから気づかなかったが、英語圏では「ないんじろわんつーふぁいぶ」と読むのかな。英語圏では「90125」と「9012 Live」は見事にダジャレになっているそうだ。

当時は動いているYesを見る機会が少なく、もっぱらライヴ版を聞きブックレットの写真を眺めながらステージの様子を想像したもんだが、ある日、店頭で本作「9012 Live」が流れているのを見た。そこで「Starship Trooper」の演奏を見れたもんだからエラい感動した記憶がある。黄金期の楽曲を演奏するYesの映像ってだけでも、当時のワシにはとても貴重なものだったのだ。で、LDプレイヤー購入後にこのLDを購入したわけだ。

王道Yesではなく、変なエフェクトが多用され、ロジャー・ディーン風ではないステージ・セットで、黄金期Yesの楽曲が2曲しか含まれていない本作だが、そういう訳でワシには思い入れがある1枚なんである。黄金期Yesとは傾向がまるで違う90125Yesの楽曲だが、モダンでポップでちょっとテクニカルで良いしね。このライヴはこのライヴで良かったと思う。

【DVD版】2006年
WPBR95176(片面2層)
NTSC 約130分。
発売:ワーナーミュージック・ジャパン
¥3,900(税込み)(←この価格は2009年版の物)
9012DVD.jpg

「9012 Live」は5.1chサラウンド音声とボーナス映像を追加されて2006年にDVD化された。待望の画像エフェクトを削除したバージョンが収録されているのが嬉しい。日本語字幕つき。てか字幕は7カ国語から選べる。マスター・ディスクがワールドワイド仕様なんですな。

DVD版コンテンツ
・VHS、LDと同じ「9012ライヴ」(エフェクト入り)
・画像エフェクトが削除された「9012ライヴ・ディレクターズ・カット版」
・メンバーへのインタビュー(約35分)
・「Access All Areas」(ソダーバーグ監督によるドキュメンタリー)(約25分)
・Roundabout [live]

インタビューはカウンター表示がいささかウザいがけっこうメンバーの本音が聞ける。ブライアン・レーンに対するネガティブな感情が露骨に出ていて、なんか裏側はドロドロな感じ。

ソダーバーグ監督はこのビデオで若くして有名になったが、その後「セックスと嘘とビデオテープ」「オーシャンズ11」などを監督し、有名映画監督の1人になっている。

トレヴァー・ラビンはYes脱退後は主にジェリー・ブラッカイマー監督の映画などの音楽を手掛け売れっ子映画音楽家になっている。

【アルバム版】1985年
9012CD.jpg

アルバム版の「9012 Live : The Solos」は「90125」ツアーから主にメンバーのソロパートを収録したアルバムで、ミニ・アルバム的な分量である。レコード当時はA面1曲目が「Hold On」でB面1曲目が「Changes」となっており、両サイドともバンド演奏による曲が1曲、続きはソロ・プレイという構成になっていた。映像版の「9012 Live」の収録曲数が実質9曲である事といい、この時期のYesのショーは部分的にしか残されていない。ライヴ・マテリアルの扱いに関しても特異な時期であったわけだ(笑)。

CD「9012 Live : The Solos」収録曲

1. Hold On
2. Si
3. Solly's Beard
4. Soon
5. Changes
6. Amazing Grace
7. Whitefish

2. はTony Kayeのキーボード・ソロ。
3. はTrevor Rabinのアコギ・ソロ。
4. は「The Gates of Delirium」の一部をJon Andersonのボーカル・ソロとして使用。
6. はChris Squireのベース・ソロ。シンセ・ペダルをバックに「Amazing Grace」のメロディをベースで弾いている。
7. はアルバム「こわれもの」収録曲「The Fish」のドラム・パートをAlan Whiteが叩いているので「Whitefish」というタイトルにしたらしい。曲構成が「The Fish」の通りではなく「The Fish」のフレーズで始まるChrisのベース・ソロ・タイムなので別の曲名を用意したのかな。「Tempus Fugit」と「Sound Chaser」のフレーズが登場する。Treverが「Siberian Khatru」のリフを少し弾いている。過去のYesのフレーズが散りばめられているのでファンはニヤニヤしながら聞けるかも。しかしChrisのゴリゴリのベース・ソロはカッコいいね〜。

2009年発売の紙ジャケ仕様のSHM-CD(日本版)には「City of Love」と「It Can Happen」が追加収録されている。




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