SSブログ

量子コンピュータとは何か [本]

「量子コンピュータとは何か」ジョージ・ジョンソン著。水谷淳 訳。

02量子コンピュータ.jpg
ハヤカワ・ノンフィクション文庫〈数理を愉しむ〉シリーズ NF361
ISBN 978-4-15-050361-1
定価:本体720円+税

病院の待ち時間にちょろちょろ読んで読破した。
まさにタイトル通り「量子コンピュータ?なんか新しそうだけど何?」と思って読んでみたが、なかなか面白かった。量子の特性を用いて重ね合わせ状態を利用したビット(キュビット)に基づくコンピュータだが、まだ理論が優先している段階だそうな。理論通りに作動する量子コンピュータが作られると現在のコンピュータを遙かに凌駕する計算能力が得られるとのことなので早く実現して欲しいね。

本書の最初の方で「ジェニアック」や「ティンカートイ」なる論理回路キットが出てくる。こういった玩具で遊んだ経験のある人なら最近のコンピュータの基本動作が分かってるんだろうな。学研の電子ブロックなんかが日本じゃ人気があったが、そういう玩具で遊んだ基礎がある人は本書の量子コンピュータの原理の有用性が直感的に分かりそうな気がする。あいにく、そういう過去が無いワシにとっては現在のコンピュータは便利な道具でしかなく、本書の理解も限られた物なんじゃないかと思う。いまさらながら電子ブロックで遊びたくなった。

実際に量子コンピュータの素子の研究で使われたのがイオントラップだったりNMRだったりして、そちら方面の知見があるワシとしてビックリ。あんな大掛かりな装置では実際問題として量子コンピュータの実用性が無さそうに感じられるが、あくまで基礎研究段階の話。光子を用いたキュビットの試験とかも紹介されている。我々が使っている古典的コンピュータも最初は真空管で始まりトランジスタに置き換わり高度集積化されて今に至るわけだから、基礎研究で動作確認されているキュビットと同じ動作をするもっと小型で集積化できる素子が発見されれば一気に実現性のある物になるに違いない。

本書の原著は2003年に出版され2004年に翻訳され2009年に文庫化(本書)されている。原著が刊行されてから既に7年経っているが、文庫の巻末に北海道大学の竹内教授が2009年時点の最新動向を追記してくれていて、2003年以降も着々と実証実験が進歩している事が分かりワクワクさせてくれる。早々に庶民が使える道具になるかどうかはまだまだ不明だが、将来性を感じさせる興味深い一冊であった。

----------------------------------------------------------------------------

閑話休題。
最近のハヤカワ文庫は版が従来の文庫より縦が少し長くなっていて文庫カバーに入らないのが難だ。本屋さんもこのサイズ用の紙カバーは無いので新書のカバーを付けられた。手持ちの革製カバーでも文庫用に入らず新書用のカバーに入れて持ち歩いた。本棚に並べると1冊だけピョコンと頭が出ていてなんかやな感じ。

最近出版されたハヤカワ文庫はこのサイズだから新刊買って旧作と並べると見た目の不具合が生じるのである。なんでまたこんな独自な事を始めたんだか。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。